わけあってイケメン好きをやめました
「笑うなんて美和さんに失礼ですよ」

「そうか。本人に言いつけるなよ? めんどくさいから」


 虹磨さんは私を子ども扱いしすぎだ。そんなのを言いつけたって、誰も得しないことくらい私もわかっている。


「アイツは昔から同性にはモテるんだよな。ああいう性格だから人との間に壁を作らないし、友達も大勢いる」


 美和さんは美人な上、明るくて気さくな人だ。一緒にいると楽しいと感じる人は多いはずだから、同性だけでなく異性にもモテると思うのだけれど。


「虹磨さんも美和さんが好きですか?」

「めちゃくちゃストレートに聞いてきたな」


 虹磨さんはクスッと笑うだけで、はっきりと答えてはくれなかった。きっと照れくさいのだ。
 美和さんへの“好き”の中に恋愛感情が含まれていませんように、と一瞬考えた自分がいた。


「私にとって美和さんは実の姉のような存在なんです。本当の姉もひとりいるんですけど、美和さんのほうが頼りになるし尊敬しています」

「絢音には姉さんがいたのか」

「はい。二歳違いの姉が」

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