わけあってイケメン好きをやめました
「夏も来たいですね!」

「夏は混むって。暑いし」

「暑かったら海に入ればよくないですか? そのための水着じゃないですか!」


 にぎわう海水浴場を想像してウキウキとした口調で話せば、虹磨さんは半分あきれながらも笑ってくれた。


「じゃあ、夏もふたりで来るか。先に言っとくけど、きわどい水着はダメだぞ? 男にナンパされる」

「ナンパなんてされたことないですよ」

「まぁ、俺が張りついとくけど」


 私がナンパされるのではなく、虹磨さんが女性に囲まれて身動きが取れなくなる可能性のほうが断然高いと思いますけど?

 わかってないなぁ、と思いながら隣に視線を向けると、同じような顔をした虹磨さんと目が合った。

 今の会話の流れだと、私たち“ふたりで”来ることが確定みたいになっている。
 それだと本当にデートみたいだけれど……虹磨さんはそのつもりなのだろうか。よくわからない。

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