わけあってイケメン好きをやめました
 実は一ヶ月前、利樹の浮気が発覚した。
 利樹のバンドにはファンの女の子がたくさんいるが、その中のひとりに言い寄って来られ、関係を持ってしまったそうだ。
 彼がメンバー間で話しているのを私は偶然聞いてしまい、その事実を知った。

 しつこく迫られて仕方なくだったし、もちろん一夜限りだからもう会わない、と利樹から説明を受けた。

 私はそれを自身で確かめる術もないので、利樹の言い分を信じるか否かだ。


「そりゃ、ギクシャクはしたよ。でも、別れないって決めた」


 恋人が浮気をしたのだから、当たり前だが相当ショックを受けた。だけどこの先どうするのか、泣きながら散々悩んで私は結論を出した。

 どうしても別れる決断ができなかった。失いたくない、利樹のそばにいたいと思ったのだ。
 別れられないのなら、浮気の件は私の中で消し去るしかない。


「他の女とエッチした男を許せる? 気持ち悪くない?」

「円香……」

「……ごめん。言い過ぎた。でも目を覚ましたほうがいいよ。浮気されたの、二度目でしょ」


 円香の指摘は辛辣(しんらつ)だが、そのとおりなので私はなにも反論できない。
 実は利樹に浮気をされたのは、今回が初めてではないからだ。

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