わけあってイケメン好きをやめました
「動画の人物が私だって、とっくに気づいてたみたい」
「虹磨さんって、大和と友達なんでしょ? 映像に携わる仕事をしてるし、いろいろと詳しそうだもんね」
たしかに。虹磨さんだけではなく美和さんもエンタメ関係の情報に精通している。仕事の関係で自然と耳が聡くなるのだろうけれど。
「その話をするためにわざわざ海に連れて行く? 絢音とデートしたかったんじゃない?」
円香が私に訝し気な視線を向ける。
あれは、エレベーター前での大和さんの行動を詫びるためなのもあったのだと理解しているけれど、その出来事については円香には言えなかった。
円香は大和さんの大ファンだから、彼のイメージが崩れるかもしれない発言は避けたかった。
「虹磨さんはいつも忙しい人だから気分転換したかったんだよ」
息もつかずに早口になった私を見て、ますます怪しいとばかりに円香の眉根が寄った。
「それだけ? ほんとに?!」
「そう! まぁ……動画の件で私が泣いちゃったから、帰り際にキスされたけど」
「……え? 待って、おかしいおかしい! じゃあ虹磨さんは泣いてる女全員にキスするの? しないでしょ!」
それはそうだ。でも、相手が私だからキスしたのだと、そこには全然自信が持てない。
私があのとき、告白めいた言葉をついうっかり言ってしまったから、虹磨さんは不憫に思ったのかもしれないし……などと、ネガティブな思考に陥る。
「虹磨さんって、大和と友達なんでしょ? 映像に携わる仕事をしてるし、いろいろと詳しそうだもんね」
たしかに。虹磨さんだけではなく美和さんもエンタメ関係の情報に精通している。仕事の関係で自然と耳が聡くなるのだろうけれど。
「その話をするためにわざわざ海に連れて行く? 絢音とデートしたかったんじゃない?」
円香が私に訝し気な視線を向ける。
あれは、エレベーター前での大和さんの行動を詫びるためなのもあったのだと理解しているけれど、その出来事については円香には言えなかった。
円香は大和さんの大ファンだから、彼のイメージが崩れるかもしれない発言は避けたかった。
「虹磨さんはいつも忙しい人だから気分転換したかったんだよ」
息もつかずに早口になった私を見て、ますます怪しいとばかりに円香の眉根が寄った。
「それだけ? ほんとに?!」
「そう! まぁ……動画の件で私が泣いちゃったから、帰り際にキスされたけど」
「……え? 待って、おかしいおかしい! じゃあ虹磨さんは泣いてる女全員にキスするの? しないでしょ!」
それはそうだ。でも、相手が私だからキスしたのだと、そこには全然自信が持てない。
私があのとき、告白めいた言葉をついうっかり言ってしまったから、虹磨さんは不憫に思ったのかもしれないし……などと、ネガティブな思考に陥る。