わけあってイケメン好きをやめました
円香は泊まっていってもいいと言ってくれたけれど、私は自分の家に帰ることにした。
あんな話を聞いてしまうと、あのライブハウスが今どんな状態なのか、自分の目で見てみたい衝動にかられる。
遠回りになるのに、帰り道に寄るだけだと自分に言い訳をして、ライブハウスへと足を向けた。
実際にライブハウスの前まで来てみると、明かりが煌々とついていて以前となにも変わらない気がした。
たしかに円香の言うように、入り口のあたりにあった“RED PURPLE”のポスターはなくなっている。
代わりに違うものを貼っているわけではないので、急遽剥がした感じが否めない。
少し離れて外観を見渡した。
懐かしい。……だけど長い時間ここにいたら、利樹と別れたときのドロドロとした重たい気持ちまでよみがえってきそうだ。
もう立ち去ろうと踵を返すと、見知らぬ女性とぶつかりそうになってしまった。
「あ、ごめんなさい」
「……あの、ちょっと!」
なぜかその女性に呼び止められ、不思議に思いながらも振り返る。
「あなた、たしか……利樹の……」
突然そう言われ、私は咄嗟に横を向いて顔をそむけた。
この人は私と利樹が交際していた事実を知っているのだとすぐにわかったから。
あんな話を聞いてしまうと、あのライブハウスが今どんな状態なのか、自分の目で見てみたい衝動にかられる。
遠回りになるのに、帰り道に寄るだけだと自分に言い訳をして、ライブハウスへと足を向けた。
実際にライブハウスの前まで来てみると、明かりが煌々とついていて以前となにも変わらない気がした。
たしかに円香の言うように、入り口のあたりにあった“RED PURPLE”のポスターはなくなっている。
代わりに違うものを貼っているわけではないので、急遽剥がした感じが否めない。
少し離れて外観を見渡した。
懐かしい。……だけど長い時間ここにいたら、利樹と別れたときのドロドロとした重たい気持ちまでよみがえってきそうだ。
もう立ち去ろうと踵を返すと、見知らぬ女性とぶつかりそうになってしまった。
「あ、ごめんなさい」
「……あの、ちょっと!」
なぜかその女性に呼び止められ、不思議に思いながらも振り返る。
「あなた、たしか……利樹の……」
突然そう言われ、私は咄嗟に横を向いて顔をそむけた。
この人は私と利樹が交際していた事実を知っているのだとすぐにわかったから。