わけあってイケメン好きをやめました
「もう関係ないので」


 つぶやくように声をかけてそのまま背をむければ、すぐさま追いかけるように彼女の手が私の左肩に触れた。


「待って!」


 くるりと振り向かされ、なにごとだろうと身構えた。怖い。なにかされたらどうしよう。


「利樹の元カノだよね?」

「そ、そうですけど……あなたは誰? どうしてそれを知ってるの?」


 どこでその情報を? と疑問を抱いたが、それを口にした私を見て、彼女は複雑な表情で少しだけ笑みを浮かべた。


「あなたと利樹が別れた原因の女、ってところかな」


 以前とは髪型が違っていたからすぐに気づかなかったけれど、彼女がはいているスカートには見覚えがあった。
 太もものラインがぴったりと出る、ミニのタイトスカート。
 あの日の彼女もたしか同じような服装だったと、記憶がよみがえってきた。

 利樹とこの人がライブ会場でやけに親し気にしているのを目にし、私が彼を問い詰めて発覚した……

 彼女は、三回目の浮気相手!

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