わけあってイケメン好きをやめました
「私たちはお互いに遊びだったのよ。お酒の勢いでホテル行っちゃっただけっていうか……。とにかく、関係を持ったのは一回きりなの」

「聞きたくない!」

「いいから聞いて」


 私はもういいと拒絶しているのに、なんと強引な人なのだろう。
 どうしても私に言いたいことがあるのだと、何度も私の正面に立って行く手を塞ぎ、話を続ける。


「利樹はあのあと誰とも付き合ってない。あなたが忘れられないって言ってた。こんなことを私が頼むのはおかしいって承知の上なんだけど……」

「……なに?」

「もう一度、利樹のもとに戻ってあげてくれない?」


 浮気の言い訳をしたあたりから、話の方向がなにかおかしいとは感じたけれど。
 まさか復縁を持ちかけられるとは思わなかった。しかも利樹からではなく、仲を壊した張本人からの申し出だ。


「意味がわからない」

「あなたの言い分はもっともだよ。でも、このままだと“RED PURPLE”は解散。利樹は終わっちゃう……」


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