わけあってイケメン好きをやめました
「だって好きなんだもん」


 その気持ちが大きくなりすぎた。二度も浮気をされて許すなんてどうかしていると、円香にはあきれられているが、どうしようもなく好きなのだから仕方がない。


「あの彼氏に絢音はもったいないよ! 結局“顔”だけの男じゃない!」

「あはは。利樹がイケメンなのは円香も認めるんだね」


 無邪気に私が笑えば、円香は眉をひそめてビールをあおった。


「イケメンのミュージシャンだよ? 作る曲も素敵だし、モテないわけがないよね」

「モテるのと、下半身が緩いのは話が別でしょ?! 私なら絶対無理」


 円香の中では利樹は“遊び人”確定のようだ。
 たしかに円香の言い分は全然間違っていない。私という恋人がいるのに浮気する利樹のほうがおかしい。
 モテたとしても誘いに乗らなければいいだけのことなのに。


「次は絶対許しちゃダメよ! 二度あることは三度あるって言うでしょ」

「さすがにそうなったら……立ち直れないわ」


 円香は頭を抱える私を見て「今のうちに別れるものアリだよ」と微笑みながらも切実な言葉を口にした。
 そう言われても今の私では無理だ。

< 9 / 151 >

この作品をシェア

pagetop