わけあってイケメン好きをやめました
誰にいくら頼まれても、私はもう利樹とやり直すことはできない。
数々浮気された件を水に流せないとかではなく、利樹にはもう気持ちがないからだ。
だから今の私には、利樹は助けられない。
「絢音はあのボーカルのどこが良かったんだ?」
それ、聞きます? と少々抗議の意味合いで虹磨さんを見上げる。今はもう、あまり思い出したくないのだけれど。
「顔です」
「え?」
「まぁ……歌もうまいですけどね。だけど彼氏だったときは贔屓目に見てたのもあるし。結局、顔だったんでしょう」
開き直って思いきり正直に伝えたから、引かれたかもと心配になったけれど、虹磨さんは「そうか」とつぶやいてクスクスと笑っていた。
「私の親友の言うとおりで、歌は大和さんのほうが断然うまいし曲もいいです!」
「大和が聞いたら喜ぶな」
「私、昔から同じ失敗ばかりしてるんですよ。イケメンを好きになっては裏切られての繰り返しで……」
数々浮気された件を水に流せないとかではなく、利樹にはもう気持ちがないからだ。
だから今の私には、利樹は助けられない。
「絢音はあのボーカルのどこが良かったんだ?」
それ、聞きます? と少々抗議の意味合いで虹磨さんを見上げる。今はもう、あまり思い出したくないのだけれど。
「顔です」
「え?」
「まぁ……歌もうまいですけどね。だけど彼氏だったときは贔屓目に見てたのもあるし。結局、顔だったんでしょう」
開き直って思いきり正直に伝えたから、引かれたかもと心配になったけれど、虹磨さんは「そうか」とつぶやいてクスクスと笑っていた。
「私の親友の言うとおりで、歌は大和さんのほうが断然うまいし曲もいいです!」
「大和が聞いたら喜ぶな」
「私、昔から同じ失敗ばかりしてるんですよ。イケメンを好きになっては裏切られての繰り返しで……」