わけあってイケメン好きをやめました
 虹磨さんは大学を卒業しても、しばらくモデルの仕事を続けていた。
 元々、映画や音楽にも興味がある人だったので、そっちも同時にやらないかと声がかかっているらしい。

「やってみたらいいじゃないですか」と私も勧めてみたが、自分は裏方をやりたいと言って、虹磨さんはモデルの仕事まで辞めてしまった。
 どうやら大和と一緒に音楽関係の仕事をするらしい。

 自分の彼氏ではない虹磨さんが、どんな仕事をしようと関係ない。私は口を挟む立場ではないし、好きにすればいい。

 
 私は大学を卒業すると、とある広告代理店に就職した。
 もちろん会社には虹磨さんを知る人間はいないので、それがとても新鮮だった。

 彼氏もできた。同期で入社した(かなめ)くんだ。


「要くん、鳥飼 大和って知ってる?」

「ああ、ミュージシャンの? 最近人気だよね」

「ライブのチケットをもらったんだけど、一緒に行かない?」
 

 自分も携わっているからと言って、虹磨さんが珍しくチケットをくれたのだ。
 私に彼氏が出来たのを知り、ふたりで見にくればいい、と。


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