偏愛しましょう、そうしましょう
「こばくん、今日俺サボるわ」


「堂々と言えることだけは褒めてやろう」


「やったー!」





浅窪くんがボケると、教室中に笑いが起こった。



私の席は真ん中の列の一番後ろ。


ふと左を向くと、蓮見くんが目を瞑り、頭をグラグラさせていた。ふふっ、可愛い……。



はっ! 何思ってんだ私。蓮見くんはかっこいい分類に入るんだ。可愛い分類は浅窪くん、浅窪くん、浅窪くん……。



呪文を唱えるように3回言い、前を向いた。





「特に何もないが、今日は深浦の誕生日だ。皆で祝うぞ」





あ、忘れてた。


いつもの私なら、さっきも優花ちゃと鈴音になぜ誕生日なのに何も言わないんだ……?って考えるはずなのに。



チラッ、と鈴音と優花ちゃを見ると、親指を立てて、グーポーズをしていた。

多分今日祝ってくれるんだろう。


なんだかんだ言って優しいやん。
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