愛して、芹沢さん
「莉央、俺ちゃんと話したい」


「何を?あの日のこと?」


「…うん。ずっと謝りたかったから」


「そんなの聞きたくない。この5年…どれだけ苦しんできたのか伊織は知らないでしょ?それを謝って許すなんてできない」


「……わかってる…だから、莉央が許してくれるまで何度だって来て頭下げるよ…ごめん」





と頭を下げる伊織に、正直胸が痛む。



本当はわたしだって悪かったのかもしれない。





そう気づいたところはある。



だから、本当はもう伊織を許してしまいたい。




「じゃ、帰るわ」


「え、___」


「莉央の顔見て、ちゃんと謝りたかっただけだから。また来るよ」


「……」





チラッと目を合わせると、そのままアパートを出て行った。
< 203 / 483 >

この作品をシェア

pagetop