愛して、芹沢さん
伊織と初めて会った日は、春の季節で晴天だった。



いつもとなんら変わりない日曜日のお昼、家いっぱいに響いたチャイム。




玄関を開けたお母さんが誰かと話している声が聞こえ、リビングのドアからそっと顔を覗かせると、そこには伊織の家族が立っていた。



スラーっと身長が高い伊織のお父さん、そのお父さんと頭一つ分ほど身長が低い伊織のお母さん…


そして、その２人の間にポツンと立っていた伊織。





少し前にお母さんから同い年の男の子が隣に越してくると聞いていて、伊織たちを見た瞬間すぐにピンときた。




顔を覗かせるわたしに伊織のお母さんが気づき、そこで初めてちゃんと挨拶をしたことを覚えている。





それから少しして、一緒に幼稚園にも行くようになったけど、どこか伊織は壁を作っているように感じていて、その壁は小学校高学年まで感じていたと思う。





出会った頃は、わたしのほうが身長だって高かったのに、気づけば伊織に抜かされていた。
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