愛して、芹沢さん
そういうことで、久しぶりに実家に帰ってきた。



いきなりのことに親2人は驚きが隠せてなかったけど、嬉しそうに迎えてくれた。



「あ、そういえば聞いた?伊織くんのお父さんが倒れたこと」




夕飯を食べている途中でお母さんがそう口を開いた。



「うん、伊織から聞いてたよ」


「伊織くんね〜1人ですごく頑張ってるよ。ほんと家族思いの優しい子。莉央が結婚するなら伊織くんのような子がお母さんいいな〜」



とニコニコのお母さんから目をそらす。





遠回しに伊織を推してるよね?お母さん。



お父さんは聞いてない振りなんかしてるけどさ。




「誰かいい人いないの?いるなら紹介してほしいな〜」


「残念ながらいないよ。大学生活に心入れてるから恋や恋愛してる暇ないの」


「若いのにもったいない。そんなんだと、婚期逃して一生独身になるんじゃない?お母さん心配だな〜」





心配って…お母さんは早く孫の顔が見たいだけ。
< 276 / 483 >

この作品をシェア

pagetop