愛して、芹沢さん
「わたし、バイトしようと思ってて」


「バイト?」


「はい。お金を稼ぐ大変さを経験しておこうと思って…それでバイトを」


「それはお金がいるってこと?それなら全然僕が出すけど?」


「違うんですっ、ほんとに…。わたしこれまでバイトの経験とかなくて、ずっとしてみたいな〜って思ってて…そしたら柑奈のバイト先が募集かけてるって教えてくれて、それで」







我ながら完璧な台詞!…だけど芹沢さんに嘘をついていることに胸が痛む。





「そっか。それはいい経験になると思う。僕も応援するよ」


「ほんとですか?」


「もちろん。それでどんなバイトなの?」


「っ…それは〜…」






そうだよね。




やっぱりそこ聞いてくるよね。






でも、ここは嘘つくわけにはいかない。



「ガールズバー……です」
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