愛して、芹沢さん
そう言って抱きしめる力を強める。



苦しい…けど嬉しい。


さっきは触れないって言ってたはずなのに。




そう言っていたから、余計嬉しく思う。


「迷惑、じゃないですか?」


「ううん。全く。莉央ちゃんには、どんなに忙しくても居てほしいから」


「……じゃ、今日は泊まっていきます」



そう返事をすると、腕から解放された。



自由の身になったわたしの体はどこか寂しさを感じる。


こんなこと口が裂けても言えないけど。




「これ、作ってくれたの?」



リビングに戻ってくるなり、芹沢さんの笑顔が見えた。


「はい。でも、勝手に色々使ってしまって申し訳ないです」
< 81 / 483 >

この作品をシェア

pagetop