今の自分を、スキニナレマスカ？
その言葉にノブの顔が緩んだ。優しく笑って、
「じゃあ今日はくっついて寝ようか？」
と言った。きっと今までこんなに緊張したことなんてないんじゃないかっていうくらい、ドキドキしまくった夜だった。
初めてのキスは、不思議なくらい優しいものだった。

ノブと同棲してから、2ヵ月。朝の8時くらいに家を出て早くて夕方6時くらいに帰ってくる、ノブの身の回りのことしていた。買ってきた料理本を見ながらご飯を作り、掃除や洗濯。好きな人の為にすることは、どんなことでも幸せに感じた。
一緒に暮らして行く中で、約束事があった。それは、ノブのパソコンを触ってはいけない、パソコンを置いている机の引き出しをあけてはいけない、だった。機会が苦手なあたしは、言われなくてもパソコンを触ろうとは思わなかった。机の中を見ちゃいけないのは、仕事に関するものがあるから無くされたり汚されたら困るからという理由だった。その約束をあたしはちゃんと守っていた。掃除をするときも、机の下を掃除するくらいで触らなかった。
ノブはあたしの下手くそな料理を、おいしいと言っていつも食べてくれた。それが嬉しくて、あたしは毎日頑張って料理を覚えた。
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表紙・目次

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