ひととせと、マタタビ
「―――奏多さ、振られたの?」
「振られた、三日間」
「楽しそうで何より」
結局、男女比の都合で湊と組むことになった。
台の数が少ないので待ち時間が長い。湊と横並びになって話すのなんてこれが初めてに等しい。
なのに名前呼びなのは汐桜に影響されたから。
「汐桜に好きな奴できたとか?」「…お前とかな」「わー嫌味?」
なんで、と視線を向ける。
「俺もう振られてるんだけど。
ちょうど去年のスポーツ大会の時に。聞いてないの?」
…聞いてない。
湊が汐桜のことが好きなのはなんとなく気づいてたけど。
「確かに君には言いづらそうだよね
なんでも溜め込んでそうだし、奏多がそんなだから汐桜は汐桜で遠慮してたり
そういうとこなんじゃないの、奏多から離れてったのは」
まさにそれだ。
湊が発した言葉が俺の核心を突いてきて、もはやそれに対して怒りも無い。
「…湊とは仲良くなれなそう」
「同感」