ひととせと、マタタビ



部活に入っていない私たちはほとんど同じ時間のバスに乗る。






大抵私は後ろ、先輩は前の方の席に座るので、バスから降りると自然と私は先輩の後ろを歩くことになる。






きっと、同じ住宅街に住んでるんだろうな…なんて後ろ姿を見つめながらそう思っていた。







先輩のドジっ子は今日だけではない。






ある日は片足が道路の端の溝にはまっていたり、またある日は歩きながら寝ていたり。




その時は、寝ているのでは?と後ろからでもわかるくらい左右に行ったり来たりを繰り返してフラフラしていた。




車がたくさんの道路とかじゃないし、住宅街ではあるけれど、
さすがに道路で目を瞑るなんてただただ危ない。






先輩と面識のない私はどうにかしようと、
大声で「ハックション!」とくしゃみをするフリをした。





先輩の肩がビクッとして、起きたのがわかると一安心。





人一人の命を救った気になった。






多分それが三ヶ月前くらいのこと。私が高校に入学したばかりの時だった。




その時は目の前を歩く先輩がどういう人かも知らなかったんだけど。


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