ひととせと、マタタビ
「―――顔どうしたの、心釉」
放課後、机に突っ伏して日誌を書く私に話しかけたのは幼馴染の柊璃(しゅり)。
昨日から上手く笑えない。
ご飯を食べていても、授業中でも、友人と話している時も、常に心の片隅のほうに織先輩がいて、どうしたらいいのか分からない。
もう結構な重症(コイワズライ)なので、
“今日は日直で遅くなるので別々に帰りましょう”
とメッセージを送った。
そうは言ったけど、日直の仕事はもう既に終わっているので帰ろうと思えば帰れる。
でも先輩と鉢合わせしないためにいつものバスより一本遅くすることにしたのだ。