ひととせと、マタタビ
「………へえ?なるほどね
心釉、この先輩と話したいことあるんだろ。俺じゃなくて、先輩と帰れ。俺先行くから、逃げんなよ」
ポン、と背中を押されて私は先輩の横に並ぶ。
柊璃はそう言うと、昇降口から出ていった。
…あれ、そっちは逆方向?
もしかして、練習あったの?
グラウンドの方を見ると、柊璃の所属している陸上部は確かに練習をしていた。
私のために練習を休もうとしてくれていたのかもしれない。
私が見つめていた所為か、柊璃は後ろを振り返り「ガンバレ」と口を動かした。
答えるように私は手を振る。
……さて、ここからどうしよう。