ひととせと、マタタビ
「あのっ…」
人生初の告白。
織先輩は震えてる私の手を握ってくれた。
暑い。熱い。
夏の暑さなのか、握られた手の熱さなのか、そんな事をゆっくり考えている余裕は無かった。
「私も、織先輩が好きです
全然王子様じゃないところが好きです。
…好きな人の話をしてる時の織先輩の目が優しくて、私がその目に映ってほしいって思いました。」
言い切っても何も言わない先輩。
ここからどうしたら告白が終わるのかなんて知らない私は先輩を見上げると、
繋いでいない方の手で真っ赤になった顔を覆っていた。
「……先輩、私の事見てください。その目には誰が映ってますか…?」
繋いでる手のおかげで私が立ち止まると先輩も止まってくれる。
やっとこっちを向いたと思ったら、苦しくなるくらいに抱きしめられた。
「…映ってるよ、最初から心釉しか見てない。
これ両想い?どうしよ、幸せすぎて転びそう」
「せんぱ、い!ここ住宅街です!」