ひととせと、マタタビ
なんとかの秋
翌日。
私は柊璃くんに“放課後、教室に集合”とメッセージを送信。
今日からテスト期間なので部活はお休み。
しかも午前中にはテストが終わるので、いつもの平日よりも自由な時間が多い。
幸か不幸かはその人次第だけど。
柊璃くんの場合は、
「この時期の休みは有り得ないでしょ、もう大会なのに…
俺昨日、フライングしてピストルが二回鳴ってしかもレッドカード出される夢見ました」
夢でも現実でも上手くいかないらしい。踏んだり蹴ったりだ。
「そんな柊璃くんのために考えたよ。
秋といえば、なことしようよ」
「スポーツの秋とか?」
「うん、そういうやつ。柊璃くんは年中スポーツの秋みたいなものだし他のにしよう
最初は芸術の秋だよ」
「――じゃあ、好きなもの描いてどうぞ」
前後の席をくっつけて向かい合う。
隣の席に座るのも考えたんだけど、肩が触れちゃったりしたら色々キャパオーバーになりそうなので諦めた。
今日の為に買ったまっさらなノートとクレヨンを渡す。
「好きなのかー…あ、俺これ好き」
と言って楽しそうにクレヨンを動かす。