ひととせと、マタタビ
次の日。
「芸術は柊璃くんには合わないみたいなので、次は読書の秋にします」
「合わないのは桃子さんもでしょ」
ということで学校の図書室に来た。
柊璃くんはきっと小説なんて読みそうにないし、私は本を読むと眠たくなってしまう。
本とは無縁の生活を送ってきたおかげで、日本語が人よりもヘタクソなのは自覚済み。
ちなみに、触れていないだけでテスト勉強はしています。一夜漬けタイプです。
柊璃くんは学年で五番に入るくらい、頭が良かったり。
「なんで本?桃子さん好きなんですか?」
何故来たかっていうと、
ガラッ
「あ、桃子きた。とりあえず挨拶代わりにこの返却本、棚に戻して〜
…柊璃もいる、え手伝ってくれんの?わーい」
カウンターに座る、というか突っ伏しているのは影璃先生。
答えは私が今日委員会だったから、って事になる。
「ごめんね柊璃くん。
昨日織に委員会代わってもらって、さすがに今日もって訳にもいかないし…織これから用事あるらしくて」
「あー…デート?心釉から聞きました。
それよりすみません、昨日委員会だったのに」
柊璃くんは申し訳なさそうにペコ、と頭を下げる。
デートについては柊璃くんの表情は特に変わらない。
強がってるのかな。影璃先生の前だしな…