ひととせと、マタタビ
「―――桃子さん、帰りますよー」
「んー、しゅりくん……?
!?え、柊璃くん!?」
いつの間にか閉じていた目を開けると好きな人の顔が目の前にあった。
まさか、本当にぎゅってした訳じゃないよね、やってたら重罪だ。
…違う、ドン引きな独り言を呟いてそのまま寝ちゃったんだ。
でもたしか向かいに座ったはず…
あれ!?外真っ暗だ!?
「ごめんなさい!」
「全然。俺も眠れて良かったです」
やっぱり寝不足だったんだな。クマも消えてるみたいで安心した。
てことは、クマが消えるくらいの長い時間寝てたってことだ……
「職員室行きましょう、兄が送っていってくれるらしいので」
「ほんと?ありがとうございます…」
読書の秋は、やっぱり寝てしまいます。