ひととせと、マタタビ
「はあっ……きっつ」
息切れとともに、また大会の日みたいにぎゅっと抱き寄せられて階段に座り込む。
「…柊璃くん聞いてたんでしょ
好きなんだよ。だから、もうこんな事しないで…早く離して」
「無理。桃子さん聞いて、俺の話」
聞く、聞くけど!
この体制のままで話すの?顔が熱くてどうしようもない、溶けそう。
「俺、桃子さんの事が好きって言えない……まだ。
でも他の人んとこ行ってほしくない、俺だけでいい。
こんなこと思うのなんて桃子さん以外にいない」
なんだそれ、まだって…
「絶対桃子さんのこと好きになる。
多分ほぼなってるんだけど、さすがに切り替え早いって思う…?」
「…思わない」
「あの日から一緒にいて、このままずっと隣にいてほしいと思いました
桃子さん、俺と付き合ってください」
その言葉と同時に柊璃くんの顔が滲む。
どこが目ですか?綺麗なお顔が見えません。
「うう…」
「泣かないでください。まだ終わってないですから、早くしないと心臓おかしくなる。
ねえ、返事は?まる?オッケー?喜んで?」
制服の袖口で涙を拭ってくれる柊璃くん。
選択肢、ハイしかないじゃん。……返事なんて最初から決まってるけど。
「まるです、大好き柊璃くん…」