ひととせと、マタタビ







「――同じクラスで良かったね汐桜?」




「良かった!
毎日奏多と同じ教室で授業受けられるなら寝ないでがんばるよ私」







柔らかく笑みを浮かべる彼女が愛おしくて無意識に触れそうになる。







まあいつも我に返って手を引っ込めるんだけど。






そういう事をしたり、言ったりするようなキャラじゃない。






きっと周りからは、
汐桜のほうが好きの気持ちが大きいと思われているだろう。






完全に逆なのに。







だから帰りにはキスをする。
今日も好きだよって気持ちを込めて。






汐桜は、そんな形でしか気持ちを伝えられない俺を優しく受け止めてくれた。







…でももし、それが原因だとしたら。







他に特別な感情を持つ人ができたのかもしれない。だとしても、三日間の意味がどうしても分からない。


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