アクセサリーは 要りません
「おはようございます。
今日こそ私が先にって思ったのに
山口先生、早いですね」

「おはよう、その勝ちは俺に譲って。
勝とうと思わず、時間通りに来て。
でないと俺がそれ以上早く来なきゃ
ってなるから。
あ、それ持つよ。行こっか」

そう言って荷物を持って彼女のあいた手を握って歩き出した。ランニングコースからは見えにくい場所の目星は付いている。そこで、うまく死角の場所を見つけシートを敷いて座った。座る時は離れていた手も、もちろんつなぎ直した。

今までは、ベタベタされるのを鬱陶しさしか感じなくて、イチャイチャなんてベッドの中だけで充分と思っていたのに、つなぐのが当たり前って何だろう?すっと馴染むんだ、何だこの手は?それだけじゃない、本当に今までの俺では考えられないけれど、小さい頃の話も学生時代のことも自分のことを知ってもらいたくて色々と話しているし、それと同じぐらい彼女のことも知りたくて色々質問をしながら聞いていた。
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