アクセサリーは 要りません
逃げる

1あれ?ーSide伊吹

彼女の笑顔が心からじゃなくなってる。

そう気付いたのは月曜の朝だった。

ゴールデンウィークにも学校が休みにならないことになり、急遽その準備をしなければ、そして緊急事態宣言初の日曜日だったので彼女に諭されて、それぞれのペースで仕事や家のことや休息を取ろうと昨日は会わないことにした。

でも、どうしても顔を見たくなった俺は日曜の夜、彼女のマンションまで行ってみた。緊急事態宣言が気になるなら、ベランダ越しでも良い、そりゃ、できれば玄関まで入れてくれたら嬉しい。この間みたいに部屋に入れてくれるなら、もっと嬉しい、なんて色々思いながらマンションまで来てみると、部屋の電気が消えている。疲れて寝てしまったか?行くかどうか迷わずもう少し早く来れば良かった。「会いたいのは俺だけか」と少し切なくなって、そんな自分にちょっと笑った。
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