アクセサリーは 要りません

食堂の扉を開けると、音楽が流れるが静かな中、一方向を向いて生徒が食事をとっていた。食事を終えた生徒は順番に食器を片付けて出ていく。今日は健康診断だったので2年3年の食事時刻が最後だったらしい。それぞれ寮に戻り、そこからは寮のスタッフの受け持ちになる。

学校のパンフレットに載っている食事風景は、何人かで向かい合って楽しく笑顔で食べている写真だった。早くその景色を見てみたいし、できたらその中の彼たちと一緒に楽しく食事を取る日が来てほしい。「手が足りていないところは？」と考えて、見回したけれど見つからないので、石川先生を探した。石川先生はちょうど食堂の方とお話中で、私に気付いて手招きをなさったので会釈して近づいた。

「こちら、
今年の新任の宇部先生です」

「宇部先生、
こちら食堂の総責任者で
管理栄養士の築地さん」

そう言って石川先生は、白いコックスーツの女性を紹介してくださった。割烹着も似合いそうな「THEお母さん」といった感じの温かい雰囲気の女性だった。