アクセサリーは 要りません
マスク越しに手で口を封じられた。

「もう何も喋らないで。
私の手を離しても何も言わないで。

うわっ、もう、鏡見やすいように
ライトも自動で照らしてくれちゃうし」

「はいはい、俺、外にいるから
終わったら声掛けて」

そう言って俺はバックドアを開け、後部座席を倒しスペースを作った。

見たらダメかな?と思いながらチラッと助手席を見ると、絶望的な顔で鏡を見て、顔を両手で覆い、もう一度鏡を見直して、ちょっと怒ってため息をついた。相変わらず喜怒哀楽が出ているマスクを外している惠美里がいた。
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