アクセサリーは 要りません

「うん、明日ね」

そのまま伊吹くんは鍵を開け、ドアを開いた。そしてこっちを向いて「惠美里、おやすみ」と言ってドアを閉めた。私は後ろ髪を引かれながら鍵を閉めた。

緊張から解放されて、玄関に座り込んだ。1時過ぎ、寝なきゃ。

えっと、歯磨きは？したね、したした。喉乾いてからっから。水飲もう。ダイニングチェアに座って水を飲んだ。

あとは？

さっき歯磨き終わって顔のお手入れして、ペディキュア塗り直して？うん、トップも塗り終わってるな。

で？あ、そうだ。寝ようとして、ソファを横向きからいつもの1人用の縦に戻そうとして、「そういえばさっき伊吹くんが寝てた」と思い出して、寝転がってみたんだ。そしたら、ちょうど調理台あたりがよく見えるんだなぁと分かって、伊吹くんの匂いがして、このソファの包み込む感じが、伊吹くんに抱き締められてるのに似てると思って。やっぱり寝ちゃってたのね、私。