アクセサリーは 要りません
「ここからは1人ずつ歩いた方が
神様の場所だから良いですよね?」

そう言って鳥居の前で彼女は手を離した。しかし、隣に並んで歩いていたから気付かなかったが、真っ赤な顔をしていた。少しは俺のこと意識したのか?まぁ、神様の場所に、下心いっぱいの野郎はバチが当たりそうだし、一旦ここは彼女の言う通りに離してやるか?

鳥居を通過してからは、より一層厳かな空気のなか本宮の方へ向かった。彼女の口数も減り、俺も静かに参拝した。

静かに過ごしたいと思う時と、会話を楽しみたい時との波長が合うと言えば良いのかな?静かに沈黙してても、一緒にいて心地良いんだよね。

帰り藤棚があって、満開までもう少しだったが、綺麗に咲いていた。嬉しそうに藤棚を見上げて目を輝かせる彼女を見て、好きになっている自分を認めざる得なくなったと思った。でも、すぐに結果を出すのではなく、彼女との曖昧な関係を楽しみつつ、彼女に合わせるのも悪くないなと考えた。俺もリハビリがあった方が良いだろう、ってすっかり彼女に癒されて快復しているか?

そして、今日解く宿題も解けた。
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