アクセサリーは 要りません
「写真2枚目撮ろっか?
これで俺らも藤も入ってる?」

「下から?もう少しこの角度の方が。

そうそう、このぐらい。
下から撮ると大きく写っちゃう」

そう言って彼女は俺の手の角度を平行に近くなるように調整した。

「じゃあ撮るよ?」

「どんなの?あ!良い感じ〜
ねぇ、もう1枚。
周り2m誰もいないから、
しゃべらず一瞬だけマスク外そう?」

「OK、じゃあ合図でマスク外して、
撮ってマスクして終了、行くよ?
さっきと違って何枚か撮ろう。

1、2、3はい」

「撮れた?」

そう言って彼女は覗き込んできた。近い。生徒ともこの距離でいくのか?本当に大丈夫か?

「うわ、良いね〜
きれいに咲いているのが撮れてるね。
桜が終わっていて残念だったけれど、
きれいな藤に出会えたから
嬉しいね?」

「そうだね。後で送るね。
ちょっとそこに座ろっか?」

「はい、そうですね」

藤棚から少し離れたところから、暫く藤棚や遠くに見える社など眺めていた。

さあ、言うかな。どちらにしても、途中までしか言えないのが心苦しいけれど。でも、近い未来に最後まで言う日が来る気がする。他の人から聞くのも困るが、時期尚早という感じか。俺の口から言えることを願おう。
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