バーチャル彼氏
思わず、顔を赤らめる。


すると、その男の子はゆっくりと口を開いたのだ。


「ボクノ ナマエヲ オシエテ クダサイ」


え――?


キョトンとして、『彼』を見つめる。


彼は相変わらずニコニコとエクボを作りながら、微笑んでいる。


そして――。


昼間の桃子との会話を思い出してしまった。


『だからさ、バーチャル彼氏よ! バーチャル、か・れ・し!!』


『今彼氏のいないOLの間ですっごい人気なんだってぇ』


バーチャル……彼氏……。


私は、彼の足元にある缶詰を見た。


確かに、ツナ缶と同じような見た目だ。

すると――。


「ボクノ ナマエヲ オシエテ クダサイ」


目の前の彼が、また同じ質問をしてきた。
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