バーチャル彼氏
この人の笑顔、向日葵に似てる――。


全体の雰囲気も、どことなく向日葵に近いものがある気がする。


「その代わりさ」


「え?」


「キス、してよ」


はあぁ――!?


突然の言葉に、私の口は半開き。


今、向日葵に雰囲気が似てるって思ったところで、それで『キス、してよ』なんて、向日葵と似たような事を言われちゃったら――。


私は真っ赤になって瀬戸君を見つめる。


「あはは。そんな、照れなくていいじゃん」


「や、だってさ……」


そんな事をおねだりされて、照れない子はいないと思う。


「それとも、俺とは付き合えないから、嫌?」


「え――」


返事に、詰まる。
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