バーチャル彼氏
名前……。


突然そういわれても、わからない。


説明書もなにもついていないし――。


って、これ、自分で名前決めろってことかな?


「ボクノ ナマエヲ――」


「向日葵……」


私は、庭に咲く向日葵を思い出し、呟いた。


夏の太陽へ向けて名一杯背を伸ばす、向日葵。


その顔は満面の笑みで、誇らしい。


「ヒマワリ――インプット シマシタ」


目の前の彼はそう言い、微笑んだ。


きゅんっ……。


その笑顔に、顔が熱くなっていく。


「アナタガ キョウカラ ボクの、彼女です」


片言で機械的だった言葉が、一気に人間らしく近づく。


「彼女――?」


「はい。そうです。名前を教えてください」


名前って……今度は私の名前ってことだよね?
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