バーチャル彼氏
「青春って感じ?」


「なぁにが青春よ。一番青春してんのは泉でしょっ」


ツンッと後頭部をつつかれて、ぷぅっとふくれっ面になる私。


青春?


こんな、悩むのが?


私は、グラウンドにいる選手のように輝いてはいない。


ただ、悩んでるだけだ。


『好き』って気持ちが、本当かどうかわからなくて。


「そんな悩むもんなの?」


エスパーのように、桃子が言う。


「え?」


「男の子に告白されたら、『好き』か『嫌い』かしかないと思うよ? んで、泉は『好き』だって言ったじゃん」


「それは、そうなんだけど……」


確かに、私は瀬戸君が好き……。


思い出しただけで、今でもドキドキする。
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