バーチャル彼氏
「……シミ」


「シミ?」


首を傾げつつ、お姉ちゃんは私の隣に寝転び、同じようにシミを見上げる。


「あぁ~……。あんた、バーチャル彼氏をいつも同じような場所で起動してるでしょ」


「えぇっ!? なんで?」


突然の図星に驚いて、私は上半身をガバッと起こす。


「ゲームの強い光が長時間当たると、シミができるのよ。まぁ、『バーチャル彼氏2』ではそれも改善されたけどさ」


「なによぅ、先に言ってよ、そんなこと」


ムゥッと頬を膨らませる。


「んで? 向日葵とはどう?」


お姉ちゃんの言葉に、私は一瞬ドキッとする。


実は、向日葵とは一週間も顔をあわせていない。


なんとなく、今日起動させようかな。


とは思っていたけれど、まだ暗い引き出しの奥に眠っている。


「見てない」


「え?」


「一週間前くらいから、見てない」


「一週間っ!?」
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