バーチャル彼氏
私の言葉に、お姉ちゃんは大きく目を見開き、飛び起きた。


「あんた、それマジで言ってんの?」


えらく慌てた様子のお姉ちゃんに、私はコクコクと頷く。


なにか、まずいことでもあった?


「あぁ、まさかそんな事になるなんて思わなかったから、私も説明しなかったんだわ」


とか、なんとか。


ボソボソ呟いては髪をクシャクシャと指に絡ませ、時折青い顔を見せる。


なに?


いけなかったの?


わけがわからず、ただ清美姉ちゃんを見つめていることしかできない、私。


「向日葵は、いまどこ?」


「え? 引き出しの中……」


言うと、お姉ちゃんは私の机の引き出しを手当たり次第に開けていく。


「ま、待って! カギかけてあるの」


慌ててかけより、お姉ちゃんにカギを渡す。


お姉ちゃんはソレを私から奪い取り、カギをあけると置くの方からカンヅメを取りだした。


一週間ぶりのカンヅメに、一瞬胸がギュッと痛む。
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