バーチャル彼氏
ごめんね向日葵。


ずっと1人でいさせちゃって。


「やっぱり……」


「どうしたの?」


「これを見なさい」


真剣な表情をするお姉ちゃんが、カンヅメを渡してくる。


私はそれをマジマジと見つめるが、なにがおかしいのかわからない。


そして、カンヅメをクルリと角度を変えてみたとき――。


「え……?」


後ろの、3つのボタンが緑色に光っている。


今まで、この3つのボタンが光っている所なんて見たことがない。


「これ、どういう事?」


「『死の合図』」


え――?


ドクン。


と、心臓が跳ねる。


嫌な汗が背中から噴出しているのが、わかった。


「死の……合図?」


「そうよ。この3つのボタンが光るのは、バーチャル彼氏が故障した時か――」


お姉ちゃんは、大きく息を吸い込む。


「自分から、ゲームを降りたときよ」
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