バーチャル彼氏
☆☆☆

そうして文化祭に行ったのが、1年前の事だ。


「それが、なに?」


「ほら、そのときに私らのサークル身に来たでしょう?」


そういえば、お姉ちゃんに連れられて色んな教室を歩き回ったんだ。


その中のひとつが、お姉ちゃんの所属しているサークル。


バーチャル彼氏発祥の地だ。


「そのメンバーの中に、いたのよね」


そう言い、お姉ちゃんは緑色に光るカンヅメを見つめた。


向日葵――。


「サークルの人だったんだ……」


「そう。そもそも、このゲームができたのは、泉、あんたのお陰なのよ」


思いもよらぬその言葉に、私は唖然としてお姉ちゃんを見つめる。


私のお陰……?


「なに言ってるの? なんで、私?」


わけがわからず、混乱する。


バーチャル彼氏と私。


なんの繋がりもないハズだ。


「1年前の文化祭の時、あんた相当つまらなそうな顔してゲームしてたのよ。覚えてない?」


「そうだっけ?」
< 149 / 163 >

この作品をシェア

pagetop