バーチャル彼氏
お姉ちゃんに促され私は向日葵へ向けて、「彼氏機能、一時停止」と、言った。


すると――。


向日葵を取り囲んでいた光が弱まり、向日葵の体の前に『メニュー』という単語が現れた。


「そのメニューボタンを押してみて」


言われるがままに、光の中のボタンに触れる。


もちろん、光だから感触はない。


ボタンを押すと、次にズラリと項目が出てきた。


『音声切り替え 日本語/英語』


『彼氏機能 ON/OFF』


『音楽 再生/停止』


などなど。


その中の『彼女メニュー』というボタンを押して、といわれた。


「最初は会話もロクに出来ない状態だから、簡単に自分の名前を覚えさせたいなら、ここで打ち込めばいいの」


『彼女メニュー』の中の、『名前』ボタン。


それを押すと、あいうえお順の日本語が出てきた。


まるで、ゲームを始める前に勇者の名前を決めたりする、あれそっくりだ。


私はそのまま、自分の名前を『いずみ』と打ち込む。


そして、変換。


『泉』
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