バーチャル彼氏
それは今は全く使われていない教室の1つだった。


昔は美術部員が多く、第1美術室と第2美術室に分かれて部活を行っていたらしいが、今は違う。


優秀な先輩たちが卒業してから、なんの賞も取れず、最近ではめっきり部員数も減っているらしい。


「うわ、本当に物置状態」


「だねぇ」


私たちは汚い美術室へ足を踏み入れ、眉間にシワを寄せた。


でも……。


この教室は学校の裏へ面している。


だから、誰にも気付かれないと思ったんだ。


「ねぇ……」


学校の裏手は涼しい風が通りぬけていた。


テラスに出てお弁当を広げ、半分くらい食べたところ。


「驚かないでね?」


そう言い、スカートのポケットから、缶詰を取り出す。
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