バーチャル彼氏
桃子は一瞬目を丸くして……それから、「バーチャル彼氏じゃん!!!」と、声を張り上げた。


私は慌てて桃子の口を手で塞ぎ、もう片方の手で「しーっ!」と、合図した。


「ちょっと、コレどうしたのよ?」


「昨日、お姉ちゃんが買って帰ったの」


2人とも、コソコソと話す。


まるで悪い事でもしてるみたいだ。


「見せて見せてっ!!」


桃子はリアル世界にも彼氏がいる。


けれど、目を輝かせてそう言ってきた。


もちろん、見せるつもりで人気のない場所に呼んだんだ。


私は一番右のボタンを押し、「向日葵」と、言った。


すると、すでに開いている缶の中から光がウワッと辺りを照らした。


薄暗かった学校裏が、一気に明るくなる。


「泉」


向日葵は私に笑顔を向けて、言った。


「すっごぉい!! 超、カッコイイ!!」


桃子の目はハートマーク。


大人っぽい外見で、子供っぽい笑顔を見せる向日葵。
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