バーチャル彼氏
私はなんだか照れてしまって、向日葵と目をそらした。


「泉」


向日葵が呼ぶ。


「なに?」


視線をはずしたまま、答える私。


「泉、泉、泉」


連呼する向日葵に、私は首をかしげる。


「向日葵君を困らせちゃダメだよ泉」


「困らせる……?」


「バーチャル彼氏は、相手と見つめ合っていないと、相手の存在を認識できないのよ。ほら、目のところがセンサーみたいになっててね」


目がセンサーって……。


「声だけでちゃんと反応するのかと思ってた」


「それは、もっとコミニュケーションが取れてからだね。今のとこ、向日葵君は挨拶さえできないようだし」


挨拶……。


確かに、向日葵は出てきた瞬間『泉』としか言わなかった。


「そういう言葉とかって、どうやって教えるの?」
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