バーチャル彼氏
「簡単よ? ただ毎日『おはよう』『こんにちは』『こんばんは』って、こっちから言えばいいの。そしたら、自然と覚えるわ」


なるほど。


じゃぁ、今は昼間だから『こんにちは』だな。


私は向日葵と視線を合わせ、「こんにちは」と、言った。


向日葵は笑顔のまま、なんの反応もしない。


しかし、少しだけ間が空いた後、「コンニチハ イミヲ オシエテ クダサイ」と、またあの機械的な言葉で言った。


意味か……。


「お昼の挨拶」


私が言うと、向日葵が「オヒルノ アイサツ」と、復唱する。


「そんな感じそんな感じ」


と、桃子が頷く。


「向日葵君、記憶力はいい方ね」


私は「保存」と言ってボタンを押し、向日葵を終了させてから、桃子を見た。


「記憶力とか、あるの?」


バーチャル彼氏は機械の世界。


機械に記憶力なんて存在する?
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