バーチャル彼氏
こういうときは――。


そうだ。


私は昨日の事を思い出し、「彼氏機能、一時停止」と、言った。


すると、メニュー画面が現れる。


この中に向日葵のプロフィールなんかが入ってるかもしれない。


しかし……。


その思いに反して、キャラクターに関する情報は一切書かれていなかった。


どういうことだろう……。


首をかしげ、メニュー画面を閉じる。


う~ん……と、難しい顔をしていると、一瞬だけ、ほんの少しだけ、向日葵の表情に変化があった。


「え……?」


今度はハッキリと、困った私を見て、同じように困った顔をしてみせたのだ。


な……に?


「そうやって、表情も記憶していくのよ」


突然の声に振り向くと、清美お姉ちゃんがドアの前に立っていた。


「あ、そうなんだ……」
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