バーチャル彼氏
☆☆☆

自室へ戻った私は、すぐさまバーチャル彼氏を開始した。


いつもの笑顔で迎えてくれる向日葵。


「おはよう、泉」


「おはよう、向日葵」


たったそれだけの会話で、胸の中がホンワリと温かくなる。


「向日葵、今日はお勉強の日よ!」


「オベンキョウ イミヲ オシエテクダサイ」


「お勉強。それはね、物事を記憶すること。インプットよ、インプット」


「お勉強、インプットしました」


その言葉に、私は笑う。


すると、向日葵も口角をニュッと上げて、口を開け、大笑いのポーズ。


でも、ハッキリ言ってちょっと気持ち悪い笑顔。


「もっと、自然に笑ってごらん? ニーッコリ」


私が手本を見せると、向日葵は必死で真似をする。


なんだか、小さい子供の真似っこみたいで可愛い。


「あ、目元が笑ってないから変なんだ」


さっきから何か妙な笑顔だと思っていたら、向日葵は口元しか笑っていなかった。
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