バーチャル彼氏
そこで、私は目元を細め、クシュッとした顔で笑って見せた。


それにつられ、向日葵も目元をかえる。


それと、さっきの口元のみの笑顔をかけあわせると――うん!


上出来!!


おかしそうに笑う向日葵の出来上がり。


きゅん……。


その笑顔はやんちゃな男の子って感じで、今までの印象をガラリと変えた。


か……可愛い!!


今すぐ抱きつきたくなる衝動を、必死で我慢する。


フンワリした向日葵笑顔は癒し系。


ニカッと大口で笑うのはやんちゃ系。


うん!


いいっ!!


一人ガッツポーズを決めて頬を紅潮させていると、向日葵もそれを真似ようとした。


グッと握りこぶしを作り、ほんの少しだけ頬を赤らめる。


それはガッツポーズでテンションが上がっているというよりも、ほんの少し照れているように見える。


「は……反則だってば」


ついさっき抱きつきたい衝動を我慢したところなのに、更に可愛い表情に我慢がきかなくなる。


私はそっと向日葵へ向けて手を伸ばした。
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